フランクフルトで夜明かし (後編)





真夜中のホームに人影はまばらである。震えるほどに寒い中私たちは途方に暮れている・・・

「寒いね」
「うん」
「これからどうしよう」
ドイツに来てまだ一ヶ月。初めてのフランクフルト中央駅。ドイツ一危険だという噂のところ・・・
そんな所に真夜中に取り残されてしまった子羊2匹(新浦は大きいが)。
取り敢えず人の居る所に移動することにした。向うにマクドが見える。
「何か暖かいものでものもうよ」
そう言って、私達2人はマクドにむかって歩きはじめた。 ところがその時、地下のホームから 怪しげなおじさんがあがってきたのにでくわしてしまったのだ!
やばい!と思った。

「金を出せ!!!」

ひー!
ろれつのまわらない口調でいきなり怒鳴られた!目つきは焦点が 定まらず、体は常に揺れている!

こいつ絶対ヤク中だよぉ!!!

私達は逃げた。とにかく人の居る所にいきたかった。 マクドに必死の思いで駈け込み、ほっと安心したのも束の間、 「もう閉店です」
という冷たい店員の言葉が降り注がれた。。。

外にほうりだされてしまった私達。 どこか暖かい所はないかと見回すと、待ち合い室が目にはいった。 中に居るのはバッグパッカーの旅行者だ。 別に変な人達ではではなさそうだ。始発の電車まで後4時間。 ここで待つ事にしよう。暫く私達はおちついたのだが、 待ち合い室にも段々怪しげな人が増えてくる。 私達2人はジロジロみられている。そりゃそうだろう。 一応劇場に行くということで、きれいな格好をしていたのだから。 でも別に危険な目にあいそう、ということはなかったので、 きにしない事にした。ものすごくつかれているのだが、 こんな所で寝ることはできない。
しばらくの間、じっとすわっていたのだが、 やがて掃除のおじさんがやってきて、
「はい、全員外に出て!」
。。。またもや安住の地を失ってしまった。。。

再びほうりだされてしまった私達。周りは怪しげな人だらけだ。 2人きりになるのは怖いので、駅員の後を鴨の子どものように くっついて歩くことにした。駅員も呆れ顔であったが、 やがて、むこうから警察の人がやってくるのを指差して、 もうだいじょうぶ、というような仕種をした。 見ると、2人組の警官がその場にいる人間一人一人に質問して、 怪しげな人を駅構内から追い払っているようだ。 警官2人は何故か私ら2人は無視して、旅行者だけにその場に とどまることを許し、そして駅は閉められた。

よかったー!

後はこの寒さをどうにかしてほしい。気を紛らわすために DBの列車案内システムで遊ぶことにした。 行き先をいれれば、列車の案内を表示してくれる。 調子にのって、パリやマドリッド、お、ロンドンにもいけるぞ! などと、バーチャルツアー(?)を楽しんだ。さっきまでの気分は どこへやら、である。
やがて待ち合い室の掃除がおわり、中に入って暖まることが 出来た。もうこのころには2人は余裕をかましている。
「なんかもう怖くないし、楽しいよね」
「スリルもちょっとあじわえたし」
こうやって、 和気あいあいと4時までおしゃべりしてすごすことができた。
4時になると駅が開けられ、待合室は再び怪しい人の巣窟になってしまったので、 開店直後のマクドに飛び込みマックモーニングを食べることにした。 なんだかとっても美味しい。
やがて始発の電車がきて、私達の長い夜は終わりをつげたのだった。。。








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